巨大な「大」の文字が印象的な送り火は日本各地にありますが、日本最大級のものと言えば奈良県の大文字送り火です。
「大文字焼き」と呼ぶ地域もありますが、ここでは「大文字送り火」と呼ぶのが正式。花火とは違って静かな力強さを感じますよね。
今回は奈良県の夏の風物詩、大文字送り火の意味と2019年の詳細、定番と穴場の観覧場所をまとめてみました。
奈良大文字送り火の意味
奈良県高円山(たかまどやま)の大文字送り火は昭和35年(1960)から始まった慰霊祭。戦争犠牲者の慰霊と世界平和を祈る目的で毎年終戦記念日に行われているもので花火大会などとは全く趣旨が違う行事なんです。
でもなんで大の文字なのか?
これについてはいろ~んな説があって未だ謎めいてますが一説には・・・
大の文字は宇宙を表し、火床の数108(奈良の大文字の場合)という数字は人の煩悩を表すとされ、それを焼き尽くすという意味があるそうです。
英霊の供養と共に欲や悩みなどが渦巻いている人の心を清める意味合いもあるんですね。
ちなみに奈良県の「大」の文字の大きさは
・第二画目が164m
・第三画目が128m
有名な京都五山の大文字送り火や日本各地で見られる大文字送り火よりも大きく、日本最大級です。
奈良の大文字送り火2019の詳細
高円山の大文字送り火の日は毎年終戦記念日の8月15日
スケジュールはこうなっています。
春日大社の宮司さんによる神式の供養とお寺の僧侶による仏式の供養が行われますが、神式と仏式が一緒に行われるのはとても珍しいんです。一般の人もお焼香をすることができます。
20:00~:大文字送り火開始
20時少し前に飛火野からのろしがあがり、それを合図に高円山の108の火床に一斉に点火されます。5分ほどでぼーっと浮き上がり約30分間燃え続けます。
例年だとこうなんですが、今年は記念すべき60回目ということで15時半から陸上自衛隊第3音楽隊、奈良市消防団広報指導分団カラーガード隊などのコンサートやパレードも行われ、宵の送り火までのひと時を彩ります。
スケジュールはこうなっております。↓
16時半~17時:パレード(三条通り〜猿沢池)
※コンサートもパレードも雨天中止
飛火野会場では慰霊祭の存続と継承のために使われる協賛金も募集していて、協力者には「大」と書かれたうちわ(1本500円~)や慰霊祭特別協賛席の進呈もありますよ。
奈良の大文字送り火の観覧場所
送り火は高円山の中腹に組まれた火床で点火されるので、実は奈良県のあちらこちらで見ることができます。周辺のビルからでも見えますが、送り火を鑑賞するためのベストスポットももちろんありますよ。
地図で見ると赤い星マークが点火場所の高円山。その他のオレンジのスポットが人気の観覧場所です。
飛火野
春日大社の西側の美しい芝生の原。大文字に最も近く見晴らしも最高で、慰霊祭が行われるメイン会場です。
奈良公園一帯
東大寺などの有名なお寺に囲まれた自然美溢れた公園一体からも送り火の眺めを楽しめます。
浮見堂
ライトアップされた浮見堂越に大文字送り火が見られる場所でとても人気のスポット。早くから三脚をセットしてシャッターチャンスを待ってる人も多いので撮影目的なら早めに行くのが理想的。
興福寺
五重塔越しに大文字送り火を鑑賞できるスポット。こちらも写真好きの人に人気の場所なので撮影目的ならお早めに。
春日大社境内
送り火と同じ日に中元万燈籠(ちゅうげんまんとうろう)という幻想的な行事が行われています。3千基の燈籠が灯され、とても幻想的なので大文字送り火と合わせて鑑賞するする人も多いです。
平城京跡
メインの観覧エリアからは少し離れているので比較的すいています。ライトアップされた朱雀門越しの大文字送り火がとても絵になり、撮影するにはいいポイントです。
奈良県県庁屋上庭園
送り火の日は奈良県庁の屋上が開放され、抜群の眺めが楽しめます。
毎年6月初旬に往復はがきでの応募が始まり7月中旬に締め切り。抽選で7月末に当選者へ通知がいくという仕組みなので6月初旬に奈良県庁のホームページチェックでチェックを。
ホテルフジタ奈良の屋上ビアガーデン
ゆったり楽しみたい人には穴場の場所。人気なので予約はお早めに。
おわりに
奈良の大文字送り火は歴史的には古くないですが、大文字自体は国内最大級でとても趣のある慰霊祭です。送り火の趣旨を理解して行ったら、感慨深く大文字を眺めることができそうですね。